先日、こんなご相談をいただきました。
「管理職の方が、辞めたいと思っているかもしれない。でも、できれば続けてほしい。無理強いはしたくない。どう話したらいいでしょうか」
経営者の方の、率直な気持ちだと思います。
「説得」の前に
こういうとき、「どう伝えれば、続けてもらえるか」を考える方が多いと思います。期限を決めて答えを出してもらう。責任ある振る舞いをお願いする。どれも、経営の立場では自然な考えです。
ただ、正論を伝えると、人は逃げたくなったり、本音を隠したり、取り繕ったりすることがあります。
言われたとおりに動けば、短期的には変わったように見えます。けれど、中長期では、元の状態に戻ったり、かえって悪くなったりします。人は、人に言われたことでは、長くは動き続けられません。
先に、聞いてみたこと
このご相談では、「どう説得するか」を考える前に、一度、立ち止まってみることをおすすめしました。
続けてほしい、という期待は、そのままで構いません。ただ、その期待を最初に伝えると、受け取る側は「続けなければいけない」と感じるかもしれません。もし自分が言われる側だったら、どう感じるでしょうか。
そこで、期待を伝える前に、たとえば、こんなことを聞いてみてはどうかとお話ししました。
- 来年度、どんな状態で働けていたら、納得できそうですか
- 今の仕事で、難しいと感じるのは、どんなときですか
- その状況を少し変えるなら、何ができそうですか
同じことでも、「なぜ、できないのか」と聞かれるのと、「何に困っているのか」と聞かれるのとでは、答えやすさが違います。
「続けるのか、辞めるのか」の前に、その人が何を望み、何に迷っているのか。答えは、聞いてみないと分かりません。
聞いてみたら、想像と違った
面談をした経営者の方は、「もしかしたら、前の立場に戻りたいという話になるかもしれない」と思っていたそうです。
ところが、話を聞いていくと、想像とは違う気持ちが出てきました。責任感から「続けなければ」と思っていた部分と、自分が「やってみたい」と思っていることが、重なっていたのです。やりたいことも、具体的に出てきました。
もう一つ大切なのは、責任の置き方です。「やりたいと言ったのだから、必ずやってね」とするのではなく、困っているところは支援する。そして、本当に困ったときには、最終的な責任は経営者にある。そう伝えたことで、ご本人も、迷いを話しやすくなったようです。
まとめ
続けてほしい人ほど、「どう説得するか」で悩みます。けれど、本当に続けてもらいたいなら、先に「聞く」ことが近道になります。期待や責任を手放すのではなく、本人の考えを聞いたうえで、すり合わせる。
遠回りに見えて、いちばん長く続く方法です。
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