こんなご相談をいただいたことがあります。
忙しい時期に、周りのメンバーに助けてもらった方がいる。
その方は、直属の上司にはお礼を伝えた。
けれど、助けてくれた周りのメンバーには、特に言葉がなかった。
それ以来、職場にその方に対して「モヤモヤする…」という空気が流れている。
経営者の方は、そうおっしゃいました。
先に、確かめたいこと
こういうとき、私たちはつい「どうすれば、その方に感謝を伝えてもらえるか」を考えます。
「周りにも感謝を伝えた方がいいよ」と直接伝える。
あるいは「みんなはどう思うと思う?」と、諭すように問いかける。
そうしたくなるお気持ちは、自然なものだと思います。
でもその前に、考えてみたいことがあります。
感謝って、強制されて言うことに、どれだけ意味があるでしょうか。
「言わなければいけないから」と言わされた「ありがとう」は、表面的には、良かったように見えるかもしれません。
でも、その方と周りの関係性は、本当に良くなっているでしょうか。
感謝が出てこない、いちばんの理由
では、なぜ言葉が出てこないのか。
ひとつ、想像してみてください。
あなた自身が、仕事や職場に何か不満を抱えているとします。
その状態で「周りの人に、感謝の言葉を言ってよ」と言われたら、素直に言えるでしょうか。
そのとき、どんな気持ちになりますか。
言ったとしても、形だけの「ありがとう」になってしまい、その気持ちは周りにも伝わってしまうかもしれません。
感謝の言葉が出てこない背景に、その方が言えずにいる、別の気持ちがあるのかもしれません。
今の働き方や、周りとの関係について、何か引っかかっていることがないか。
そこを聞かないまま「ありがとうを言って」と求めても、うまくいかないことが多いのです。
ほかにも、考えられること
もちろん、理由はそれだけとは限りません。
気持ちはあっても、表に出さない人もいます。「言わない」と「思っていない」は、同じではありません。
また、これまでの環境で、「周りの人にもお礼を伝える」という習慣がなかった方もいます。
経験がなければ、言われないと分からないことがあります。
ただ、どれが理由なのかは、外から見ていても分かりません。
本人に、聞いてみる
結局のところ、本人に聞いてみるしかありません。
「感謝がない」という見え方の裏に何があるのか。
それを知らないまま対応すると、的外れになってしまいます。
最近、メンバーの方と、どんな話をしましたか。
こうした心当たりがある方は、一度、組織の中で何が起きているのかを一緒に整理してみませんか。


