以前、お話を伺った会社の話です。

福利厚生は手厚く、頑張った人を称える表彰制度があり、社内イベントも定期的に開かれている。リファラル採用の制度もあって、働く人のことを考えて、一つひとつ丁寧に整えられてきた会社でした。

それでも、毎年一定の方が離職しています。そのたびに採用が必要になり、採用にかかる費用も小さくありません。「ここまで整えているのに、なぜ」。これがその会社の大きな悩みでした。

制度は「会社全体」に向けたもの

この会社の取り組みを、否定するつもりはありません。働く人のことを考えて、一つひとつ整えてこられたのは確かです。

福利厚生も、表彰も、イベントも、働く人みんなに向けて、会社が用意するものです。ありがたいですし、あって困るものではありません。

ただ、制度は「全員に向けたもの」です。誰か一人に向けたものではありません。

辞める人が見ているのは、もっと身近なところ

では、辞めていく人は、何を見ているのでしょうか。

おそらく、会社全体の制度よりも、毎日一緒に働く上司やチームの中で感じていることです。たとえば、次のようなことです。

  • 自分の得意なことを、上司が分かってくれているかどうか。
  • 日々の仕事の中で、「ありがとう」を伝え合っているかどうか。 表彰は、結果が出たときのものです。結果が出る前の毎日の中で、上司と部下が、あるいは同僚同士が、お互いに感謝を口にしているか。
  • 会社がどこへ向かっているのかを、日々の仕事の中で確かめる時間があるかどうか。 理念や目標が壁に貼ってあることと、「それが自分の今日の仕事とどうつながるのか」を話す時間があることは、別の話です。

どれも、制度では埋められません。制度が何十あっても、自分を見てくれる人がいて、感謝が行き交い、向かう先が見えていなければ、「自分はここで必要とされている」とは感じにくいものです。

もちろん、上司が悪いという話ではありません。忙しい毎日の中で、こうした時間は意識して取らないと、いつの間にかなくなってしまいます。そして、仕組みの中に最初から入っていなければ、取りようがありません。

まとめ

制度を整えてきた会社は、人を大切にしようとしてきた会社です。その上で、制度をもう一つ足す前に、確かめてみてほしいことがあります。

直属の上司は、メンバー一人ひとりの「得意」を言えますか。職場で「ありがとう」は、日々行き交っていますか。会社の向かう先を、毎日の仕事の中で話す時間はありますか。

あなたの職場では、いかがですか?

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